妊婦の心のケアの重要性も高まっている。妊娠中の不安やストレスが大きいと、産後に一過性の気分の落ち込みにとどまらず、うつ病を発症し、育児の意欲を失う恐れがあるからだ。
国立成育医療センター育児心理科医長の笠原麻里さんによると、妊娠初期は誰でも「無事に産めるだろうか」「夫は育児に協力してくれるか」など様々な不安を抱える。それが「つわり」がおさまる妊娠20週を過ぎると落ち着くと考えられていた。しかし、同センターが2007年7月以降、20週目の妊婦を対象に実施している「心の健康調査」では、約3割の人が夫婦関係や仕事、家計などに強い不安を抱えていることがわかった。
大半は、精神科で治療を受けるほどではないものの心のケアが必要だった。そのため、同センターは、重症化して産後うつ病にならないように臨床心理士が面談し、不安の解消に取り組んでいる。
笠原さんは「悩みを打ち明けられる相談相手の不在が背景にある。話を聞いてあげるだけで、不安はだいぶ緩和される」と語る。しかし、妊婦の心のケアに取り組む医療機関はまだ少ないのが現状だ。
日本助産師会東京都支部長の山村節子さんは、「妊娠後も働く女性が増え、家庭との両立でストレスを抱え込む例が多い」とみる。
ストレスの軽減策として、
〈1〉夫の理解・協力を得る
〈2〉勤務先に相談し、仕事量を減らす
〈3〉妊婦友達を作る
〈4〉助産師や保健師に相談する
――ことなどを勧めている。
