妊婦の栄養摂取と胎児への影響を研究する三重大学教授の佐川典正さんの興味深いデータがある。同大病院など3施設で出産した1523人の妊婦のうち、やせ過ぎの妊婦は2割に上り、やせ形の妊婦から低出生体重児が生まれる確率は標準体形に比べ1・8倍も高かったという。
「現代の若い女性はやせすぎだ。健康な赤ちゃんを産むためにはもっと栄養を取り、体重を増やす必要がある」と佐川さんは強調する。
妊婦の必要な摂取エネルギーはどれくらいか。18~29歳の専業主婦の場合、1日摂取量は通常約1750キロ・カロリーとなるが、それに加え、16週までの妊娠初期はプラス50キロ・カロリー、28週までの中期はプラス250キロ・カロリーが望ましい。
それ以降はプラス500キロ・カロリーの2250キロ・カロリーとなるが、その時の推奨メニューを厚生労働省研究班が示している。主食のごはんは「中盛り4杯」、副菜の「野菜料理4、5品」とかなり多め。主菜の「肉・魚料理は1、2皿」と少ない。これにミカン2個、牛乳1本(200cc)程度が加わる。
普段小食の女性が、これほどの食事を取るのは大変だ。そのため、日本助産師会副会長の岡本喜代子さんは「1日1時間以上の散歩」を勧める。「おなかが減り、気分転換にもなる。お産に必要な体力もつけられる」と語る。
最近、注目される栄養素が、緑黄色野菜や豆類に含まれる「葉酸」。葉酸が不足すると、貧血や出血が起こりやすく、赤ちゃんの脳や神経管が正常に形成されない「神経管閉鎖障害」のリスクが高まる。
国は、2000年に妊娠を望む女性に対し、「食事以外にも、栄養補助食品から1日0・4ミリ・グラムの葉酸を取る」ように勧めている。しかし、日本ではまだ葉酸の重要性は認識されていない。
