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◎提供卵子による体外受精、不妊治療 実施へ

提供卵子による体外受精、不妊治療の団体 実施へ...独自に指針


 全国21の不妊治療施設で作る「日本生殖補助医療標準化機関(JISART)」は19日、
友人や姉妹から提供された卵子を使う体外受精を独自のルールに基づいて進める方針を固めた。

すでに同機関の倫理委員会で承認されている2例をまず実施し、その後も独自の指針を策定して実施していく。3月1日の理事会で正式決定する。

 卵子提供による不妊治療は、卵巣を失ったり機能が低下した女性でも妊娠が可能になるため、
海外でも米国を中心に広く行われており、
多数の日本人が海外で卵子の提供を受けている。

国内では、長野県の根津八紘医師が110例以上の実施を公表しているが、
法整備の遅れなどもあって、一般的にはなっていない。

 同機関は昨年6月、日本産科婦人科学会や厚生労働省に対し、
卵子提供による不妊治療の実施を承認するよう申し入れた。
これに対し同学会は、生殖補助医療のルール作りを昨年から
検討している日本学術会議の結論が出るまでは実施を見送るよう要請し、
同機関もそれを了承した。

 ところが、学術会議の検討は代理出産の是非が中心で、
それより希望患者数が多い卵子提供についてはほとんど審議されなかった。
19日に提示された報告書案にも盛り込まれなかったため、
『ノー』というサインはない」(高橋克彦理事長)と独自に実施する方針を固めた。

2例は、いずれも卵子提供以外に妊娠の可能性がない夫婦。
それぞれ子を持つ友人と姉妹から卵子提供を受ける。

 JISARTの方針について、同学会の星合昊(ひろし)倫理委員長は
「第三者の卵子提供を明確に禁止しているわけではない」とし、
「体外受精は夫婦間に限る」とする会告の違反には当たらないとの見解を示している。


[解説]ルール作り早急に必要
 JISARTが、独自の基準で妻以外の卵子を使った体外受精を進める方針を固めたのは、
不妊患者の要望があるなかで、
国や学会によるルール作りをこれ以上待てないという意思表示だ。

 卵子提供については、厚生労働省生殖補助医療部会が2003年、
匿名の第三者に限り卵子提供を認める報告書をまとめた。
それから4年以上たつが、法制化に至っていない。
日本学術会議の検討委でも、
委員の吉村泰典・日本産科婦人科学会理事長らから
卵子提供の是非を審議するよう再三の要望があったが、結局ほとんど審議されなかった。

 議論を呼びそうなのは、JISARTが実施を検討しているケースは
姉妹や友人からの卵子提供で、
厚労省報告書が認めた匿名の第三者ではない点だ。
だが、JISARTは「無報酬で匿名の提供者を探すのは非現実的」(高橋克彦理事長)
と判断し、独自の基準で進める方針だ。

 生殖補助医療技術は日進月歩だ。国や学会の動きが鈍ければ、
患者の求めに応じて医療側が見切り発車し、
社会が混乱する可能性も高まる。規制のあり方を早急に検討し、
迅速に実行していくことが必要だ。

(2008年2月20日 読売新聞)

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