妊娠や育児 禁煙の好機 子ども守るため家族ぐるみで
医療機関で相談や指導
子どもにとってたばこの害は明らかだが、
妊娠中や出産後もやめられないという人は少なくない。
母親はもちろん周囲の家族も、受動喫煙などの害を認識する必要がある。
各地に禁煙外来のある医療機関も増え、専門家の助けも受けやすくなった。
「子どもを守るためにも禁煙を」と医師らは呼びかけている。
禁煙外来を担当している内科医の萩原聡子さんと保健師の田口良子さん。
田口さんの持つ呼気の一酸化炭素の濃度を調べる検査器で、
禁煙効果が数値でわかる(神奈川県立こども医療センターで)
横浜市にある神奈川県立こども医療センターは、2003年に「禁煙外来」を作った。
子どもの治療でセンターに通う親や妊婦らの相談を受け、禁煙の指導や治療にあたっている。
同センターで禁煙外来を担当する医師の萩原聡子さんは、
「1回5分の喫煙を1日20回すれば、その分、子どもから目を離さなければならない。
赤ちゃんにいい環境を用意してあげられるのは親や家族だけです」と話す。
診察では、呼気中の一酸化炭素濃度を測る検査を毎回行う。
「濃度がまた落ちたね」と禁煙の努力を褒めることも欠かさない。
「精神論ではなく、ニコチン中毒という病気の治療として取り組むことで
禁煙に成功する人が多い」と萩原さんは言う。
妊産婦の喫煙の問題に詳しい大阪府立健康科学センターの
健康生活推進部長、中村正和さんは、
「男性の喫煙は下火になってきたが、若い女性の喫煙者は目立ち、
妊娠中の喫煙が懸念される」と話す。
たばこに含まれる一酸化炭素やニコチンなどは、胎盤を通じて胎児に影響を与える。
低体重出生や早産、自然流産、発育発達の遅れなどにつながりやすいことが
指摘されている。
しかし、「喫煙はダイエットにいい」「赤ちゃんが小さいとお産が楽になる」などと考え、
妊娠中や育児中も喫煙を続ける人がいることを中村さんは心配する。
「胎児の脳の形成期にニコチンが影響を与えることもわかってきた。
薬物依存体質になるといった研究結果もあり、多様な害があることを知ってほしい」
母親だけでなく、父親や祖父母など周囲の大人も自覚が必要だ。
家庭内で喫煙すると、子どもは受動喫煙を強いられる。
「ベランダで吸ったり分煙を心がけたりしても、煙は子どもに伝わる。
親たちの習慣を見て早くから吸い始める子も少なくない。
子どもの誕生を機に、喫煙習慣から抜け出してほしい」と中村さんは話す。
昨年から、禁煙治療には健康保険が適用されるようになった。
NPO法人日本禁煙学会のホームページ(http://www.nosmoke55.jp/)で、
禁煙外来のある医療機関を調べられる。
(2007年9月14日 読売新聞)